理事コラム
[2019年11月13日(水曜日)/理事・伊達 洋駆、釘崎 清秀]
第1回 採用力検定試験(基礎)の概要
日本採用力検定協会では、第1回採用力検定試験(基礎)(以降、第1回採用力検定)を実施しました。本資料においては、第1回採用力検定に関する概要について、どのような人が受験したか、正答率はどの程度であったか、難易度や事前学習は行っていたかといった観点を整理しています。
1.受験者の内訳
初めに、第1回採用力検定を受験した人の特徴を紹介します。
◆採用との関わり方
どのような人が第1回採用力検定を受験したのでしょうか。集計結果を見ると、採用担当者の受験が多く、特に「新卒採用」を中心に担当する方が相対的に多く認められます。一方で、採用担当者ではない方も、あわせて3割程度受験しています。
質問1(現在、「採用」にどのように関わっていますか)の回答分布(単位:%)
◆人事の経験年数
採用を含む人事労務経験年数については、10年未満の受験者が多数を占めていました。特に「1年以上3年未満」の受験者が多く、業務が一周りした後に受験している様子が伺えます。人事の経験がない方も2割弱、受験していました。
質問2(採用を含む、人事労務経験年数は何年ですか)の回答分布(単位:%)
2.正答率
続いて、第1回採用力検定における正答率について、幾つかの角度から紹介します。
◆正答率の平均
第1回採用力検定の受験者全体の正答率は「66.9%」でした。高い正答率の受験者から低い正答率の受験者まで分布しており、平均値付近が受験者も多く見られます。
正答率の分布(単位:%)
◆採用との関わり方と正答率
採用担当者の中では、新卒採用と中途採用の両方を担当している人の正答率が高く、採用担当者以外では、経営者の得点が高い傾向にあります。より俯瞰できる立ち位置の人の方が、正答率が高いと言えます。
正答率×採用との関わり方
◆人事の経験年数と正答率
人事の経験年数による差は、そこまで大きくありませんでした。経験年数が増しても、採用に関する知識が自動的に蓄積されるわけではないと考えられます。ただし、25年以上の人事経験者は、正答率の平均値が7割を超えていました。
正答率×人事の経験年数
◆領域ごとの平均値
相対的に正答率の低い領域は、法規・制度、人事管理でした。逆に正答率の高い領域は、コンプライアンス、募集、選抜でした。選考の中身に関する知識は充実している一方、採用の周辺領域の理解には課題があると言えます。
正答率×回答領域
◆採用力の要素ごとの理解度
採用力の要素を正答率の順に並べると、アクション>マインド>パースペクティブ>スキル>ナレッジ、という結果になりました。知識と技能の獲得が今後の課題と捉えることができます。
正答率×採用力の要素
3.難易度と事前学習
最後に、第1回採用力検定の受験者による主観的な難易度、及び、検定に先立つ学習状況について紹介します。
◆主観的な難易度
第1回採用力検定の難易度については、比較的難しかったと感じる受験者が最も多い結果になりました。易しいと感じる受験者は1割程度にとどまっており、一定の難易度のある設問だったことが分かります。
質問3(採用力検定試験を受験してみて、難易度はどう感じましたか)の回答分布(単位:%)
◆事前学習の有無
第1回採用力検定の前に予習を行った人は、25%程度にとどまります。逆に言えば、残りの受験者は予習していない状態で検定試験に臨んでいたということです。
質問4(採用力検定試験受験に際し、学習・予習(参考図書を読む等)をしましたか。)の回答分布(単位:%)
以上