理事コラム
[2019年7月19日(金曜日)/理事・伊達 洋駆]
人材要件の設定
採用活動においては「人材要件」を設定する必要があります。人材要件の定め方に問題があると、採用の成功が遠ざかります。
そこで、本コラムでは、人材要件の定め方に関する要点を紹介します(詳細は拙著『「最高の人材」が入社する採用の絶対ルール』(ナツメ社)の第1章をご覧ください)。
人材要件を考える際には、次の4つの観点を区別することが有効です。
・必須要件:自社で働く上で欠かせない要件
・優秀要件:不可欠というわけではないが、あるとより良い要件
・ネガティブ要件:「ない」方が望ましい要件
・不問要件:社会的には重視されるが、自社では必要ない要件
どんな人材を採用すれば良いかを社内で議論すると、たくさんの要件が挙がります。しかし、その中の多くが「優秀要件」になっていないでしょうか。
優秀要件を挙げるほど、人材要件を満たす人は減ります。仮に適合者がいても、他社も獲得に動くため、採用上の競争に巻き込まれます。
そのため、「必須要件」を絞り込むことがおすすめです。不可欠な要件は何かを考え抜きましょう。それ以外はあくまで優秀要件です。持っていなくても不合格にする必要はありません。
「マイナス要件」と向き合うのも良いでしょう。人材要件の設定では、「欲しい」人材を定義する傾向にあります。他方で、「欲しくない」人材も併せて検討すれば、採用ターゲットをいっそう明確化できます。
そして何より、「不問要件」を挙げることの意義は非常に大きいと言えます。例えば「明るさ」や「話の上手さ」といった、「世間では評価されやすいものの、自社では特に必要ない要件」を定めます。そうすれば、「他社が狙わないが自社には合った人材」と出会えます。
伊達 洋駆
株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役
神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。同研究科在籍中、2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年にビジネスリサーチラボを創業。以降、経営層・マネジメント層をクライアントに意思決定の精度を高めるためのリサーチ・コンサルティング事業を展開。2013年に横浜国立大学 服部泰宏研究室と共同で採用学研究所を立ち上げ、同研究所の所長を務める。